娘の学校

f:id:kkawa:20200301021916j:plain


うちの一人娘がSan Joseの私立女子高に通い出してから半年になる。送り迎えなどで僕も校内を歩いたりクラブ活動を観察する機会もそれなりにあり、最近この学校の空気が段々分かってきた。僕自身も私立の男子高に通っていた事もあり、つい好奇心を抑えきれず観察してしまう。その文化の違いがとても面白い。日本とアメリカの違いもあるだろう。

この学校では「人の後ろに隠れず、一歩前へ出る」という事がとても大事にされている。自信を持って声を上げなさい、貴女達にはその権利と責任がある、という感じ。そこら中に貼ってあるポスターや標語や格言がこれを後押しする。先生達によって設置されているものも多数あるが、ひょっとしてこれは子供達が自分で貼ったのかな、というのも結構ある。素晴らしいと思うと同時に、アメリカであってもこういうメッセージを刷り込んで備えないといけない位には社会に色々な難しさが未だにあるという事なのだろうな、と感じ、娘の将来を思って慄然とする。

非常に女子らしい風習も色々ある。生徒一人に一つあるロッカーは、誕生日になると友達の手によってこれでもかとばかりに写真や色紙で飾り付けられる。先日のアジアにルーツを持つ生徒達が自分たちの文化の発表をする会では、民族衣装を纏って歌や踊りを披露する子供達が沢山いた。その一方で、robotics clubでは大人顔負けの工作機械や工具を駆使してロボットを作り、何か良く分からない体育会系のノリで突然グループで懸垂を始めたりする。

僕の学校ではロッカーに飾りなど前代未聞で、殴って凹みがついているのがせいぜいだし、卑猥な落書きはあっても美しさに対するこだわりなんか全くなかった。でも物理部無線班は筋肉に誇りをもっていたし、パソコン同好会では何かというと恵比寿の激辛のラーメン屋に行く謎の風習があった。全然違うところとすごく似通っているところが隣り合わせだ。実に面白い。

日本の社会がイメージするいわゆる女子高生という記号とは無縁にみんな好き勝手にやっている感じだ。とても素敵な学校だと思う。思えば、僕の学校も生徒達を記号から守っていたのではなかったか。型にはまらない事が、我が道を行く事が、そして変人である事が誇りでありと敬意の対象だった。みんなと違う事が祝福される文化。それは麻布、アメリカ生活、そして最近の僕の多様性に関する発信を繋ぐ一つの糸だ。

そういう学校をちゃんと選んだ娘がちょっと誇らしい。うん、娘の将来はそんなに心配しなくてもいいかもしれない。

f:id:kkawa:20200301021944j:plain

興奮が最高潮に達して懸垂を始める謎の女子高生集団

f:id:kkawa:20200301022532j:plain

Engineering time!!

f:id:kkawa:20200301022544j:plain

こんな標語がそこここに貼ってある

f:id:kkawa:20200301021942j:plain

良く分からない機械の数々。ワイヤリングにも美しさを追求して欲しかった